旅行者に中国での銀行口座開設が無理な理由3つ
「旅行のついでに中国で銀行口座を作りたい」という相談が時々あります。アリペイやWeChatペイと紐づけしたい、高金利なので定期預金したい、というのが主な理由みたいですね。
一方で、最近「中国で銀行口座を作るのが難しくなった」という声を聞きます。
それに対する私の答えは、旅行者は「口座開設が難しくなった」ではなく「もう無理だと思う」ということです。
この記事では、中国での銀行口座開設が旅行者(中国非居住者)には無理な理由を説明します。
私はいま上海で生活しており、つい先日、招商銀行で口座開設の申請をしたところです。その手続きの様子も書きます。
目次
口座開設に必要な書類を事前に確認すべき理由、確認方法2つ
もし海外で銀行口座を解説したいのなら、「必要な書類は何なのか」事前にできるだけ正確な情報を集めましょう。
その理由は、あいまいな情報をもとに資料を用意して銀行に行ったとしても「~が足りない」と言われ、口座が作れない可能性が高いからです。近所の銀行ならいいですが、外国の銀行でダメと言われたら途方に暮れ無駄足に終わってしまいますよね。
情報の確認方法は2つ。
1つ目。
最も簡単なのはブログなどの情報です。注意点として、その情報の鮮度があります。中国事情は変化が激しいので、その情報がいつのものなのか、確認しましょう。また、そのブログ情報が中国のどこのものなのかも重要です。中国では地方によっても取り扱いが異なることが多いからです。
情報の確認方法2つ目。
難易度が高いですが、確実性があります。まず、外国人が多そうな繁華街にある銀行の支店を見つけ、そこに行くことを決めます。なぜなら、そのような場所の銀行職員は英語ができ、外国人の口座開設に慣れている可能性が高いからです。
そして、その銀行に直接問い合わせることです。「日本人ですが、銀行開設に必要な書類は何か?」と。電話が一番良いです。自分で聞くのが難しいと思うなら、中国人にお願いしましょう。国際通話するならLINE Outがおすすめです。最初の数分は無料で、その後も格安です。私も使ったことがあります。
招商銀行での口座開設、要求された資料
中国には四大銀行と呼ばれる中国工商銀行、建設銀行、農業銀行、中国銀行があります。
今回私は、職場の都合で招商銀行という民間の銀行に口座を作ることになりました。そして、2号線「世紀大道」駅周辺の金融機関が多いところへ行きました。金融機関が多く、さらに外国人もよくいる場所というのが決め手です。
私の職場の中国人が事前に招商銀行に電話で必要書類を確認し、その書類を全て用意してくれていました。なので、私は書類を持って銀行へ行っただけです。
以下、私が招商銀行で口座開設の手続きをしたときの流れです。
銀行に入る。以下、中国語での会話です。
- 職員:どういったご用件ですか。
- 私: 銀行カードを作りたいんですが。
我要办银行卡。 - 職員:身分証はお持ちですか。
- 私: パスポートでいいですか。
- 職員:外国人ですと、必要書類がいろいろあります。そして、数日の審査を経てからの口座開設となります。
- 私: 書類ならそろっています。
- 職員:上海で仕事しているんですよね?では、こちらへどうぞ。
銀行に提出した書類、必要だったもの
- パスポート
护照 - 現職場との契約書(職場のサイン押印あり)
合同书 - 居住証明書(派出所発行)
境外人员临时住宿登记单 - 外国人工作許可証(国家外国専家局発行)
外国人工作许可证 - 中国の携帯電話番号
手机号码
提出書類は全て原本ですが、コピー後に返されます。
- 職員:審査に1週間ほどかかります。審査が終了したら携帯に連絡します。
- 私: わかりました。ありがとうございました。
結局、この日、私は書類に記入するなど何もしていません。書類を渡しただけ。それを職員がコピーする間待っていただけです。
旅行者に銀行口座開設が無理な理由
招商銀行で以上のような口座開設手続きをしながら、「もう普通の旅行者が中国で口座を作るのは無理だな」と思ったのでした。
理由は、一般的な旅行者が簡単に提示できるのは、「パスポート」と「中国の電話番号」くらいだからです。
以下の3つは、中国で生活し就労している日本人でないと用意できません。
- 現職場との契約書(職場のサイン押印あり)
合同书 - 居住証明書(派出所発行)
境外人员临时住宿登记单 - 外国人工作許可証(国家外国専家局発行)
外国人工作许可证
意外だったこと、マイナンバー
私が事前に調べたネット情報には、「中国の銀行口座開設にはマイナンバーが必要だ」とありました。
中国の銀行が「個人納税識別番号」を要求するようになり、これが「マイナンバー」に相当する、という情報でした。
しかし、今回、招商銀行では「個人納税識別番号を教えて」と言われませんでした。でも、多くの日本人がマイナンバーを要求されているので、この手続も少しずつ定着するのだと思います。
まとめ
招商銀行で口座開設の手続きをして感じたこと。
旅行者は、中国で銀行口座を作ることができなくなった。
理由として、外国人が中国で生活し就労しているかを銀行が確認するようになったからです。
そして、銀行が口座開設に求めるものは以下。
- パスポート
护照 - 現職場との契約書(職場のサイン押印あり)
合同书 - 居住証明書(派出所発行)
境外人员临时住宿登记单 - 外国人工作許可証(国家外国専家局発行)
外国人工作许可证 - 中国の携帯電話番号
手机号码
でも、普通の旅行者には以下の3つの書類が用意できません。これが、このブログ記事のタイトルにあるとおり「旅行者に中国での銀行口座開設が無理な理由3つ」です。
- 現職場との契約書(職場のサイン押印あり)
合同书 - 居住証明書(派出所発行)
境外人员临时住宿登记单 - 外国人工作許可証(国家外国専家局発行)
外国人工作许可证
本当に銀行口座開設は無理なのか?
旅行者が中国で銀行口座を作れる可能性はまだゼロではないと思います。
理由としては、中国では銀行によって取り扱いが異なったり、同じ銀行の中でも銀行職員によって対応が違うことがあるからです。
これは、銀行だけでなく役所などでも同じです。中国で生活している人は共感してくれると思います。
ただし、旅行者が口座を作れる可能性は「まだゼロではない」と思うだけで、「ゼロに近づいているな」というのが実感です。
口座開設できる銀行を探して時間と労力を使うのは、あまりオススメできません。
良くも悪くも、中国は本当に変わってきていると感じます。
以上、この記事が誰かのお役に立てば幸いです。