中国国有企業9割不正、株価への影響は?
2017/07/12 日本経済新聞(朝刊)の見出し。
「中国国有企業、9割不正、大手20社監査、反腐敗へ異例の公表、売上高水増し3兆円。」
私はいま中国株を勉強し始めたばかり。
この情報が中国株価にどのような影響を与えたのか調べてみました。
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中国国有企業、9割不正、大手20社監査
中国国有企業、9割不正、大手20社監査、反腐敗へ異例の公表、売上高水増し3兆円。
中国の国有企業にはびこる財務不正の実態が明らかになった。
日本の会計検査院に当たる中国審計署が最近公表した主要大手20社の調査結果によると、9割に当たる18社で不正計上が発覚し、売上高の水増しは過去数年で計2001億元(約3兆4千億円)に上った。
中国当局が国有企業の不透明な経営を裏付ける異例の公表に踏み切った形で、国内外で改革を求める声が強まりそうだ。
審計署はこれまでも国有大手の財務調査を実施してきたが、今回は不正計上の合計など全体像を公表した。
5年に1度の共産党大会が秋に迫るこの時期の公表には、党内に反腐敗を徹底する姿勢を改めて示し、指導部人事の主導権を確実に握ろうとする習近平国家主席の意向がにじむ。
調査対象は、中国政府が直接所管し、「中央企業」と呼ばれる大手国有企業グループの中核会社。
中国の国有企業は一部の資産や事業を上場する事例が多いが、グループを統括する会社の実態は外部から見えにくい。
審計署は全国101社の中央企業のうち、20社について2015年の財務報告を中心に調査した。
この結果、18社で不正が発覚。
中国最大級の石油グループ「中国石油天然気集団公司」、約5兆円で農薬世界最大手のスイス企業を買収した化学大手「中国化工集団公司(ケムチャイナ)」、鉄鋼大手「中国宝武鋼鉄集団有限公司」など、各業界を代表する企業だ。
審計署は過去の調査では「財務報告に間違いがあった」といった指摘にとどめていたが、今回は故意による不正と断じた。
利益についても水増しなど計約203億元の不正があったという。日産自動車やホンダと中国で合弁事業を展開する自動車大手「東風汽車公司」もその一つだ。
審計署は「15年に従業員に配った約6億元の交通費補助をルール通りに会計処理しなかった」「15年に傘下の企業が架空取引し、売上高を約4億元水増しした」「01~15年まで経費を架空計上し、約4千万元を従業員に支給した」などと指摘した。
不正の背景には、中国特有の仕組みがある。中央企業は政府直轄の国有資産監督管理委員会が管理し、非上場だ。
外部の監視が働かず、経営トップも党内の人事異動の一環で決まる面が強い。
経営トップは実績が目標を下回ると報酬減などを迫られる半面、党の方針に沿う経営には高い評価が与えられる。経済合理性より党内での昇進を優先し、安易な不正に走りやすい体質を生む。習指導部は国有企業改革の推進を掲げてきたが、当局の調査で改革の遅れどころか、不正のまん延が露呈された。
合弁相手の外資企業はブランドイメージの悪化などの余波を受けかねない。中国国内でも既得権層への不満は強く、意思決定の透明化や経営効率化に向けた改革が急務だといえる。
出典:日経新聞
不正会計が株価へ与える影響は?
不正が発覚した中国企業の株価、どれくらい下落したのでしょうか。
暴落が予想されるので、調べてみました。
以下は、2017年7月13日現在のチャートです。
中国石油天然気集団公司
(601857) 上海A株
中国最大級の石油グループ
意外なことに、安定しています。
東風汽車公司
600006 上海A
日産自動車やホンダと中国で合弁事業を展開する自動車大手
わずかな下落。
上海総合指数
わずかな下落。上昇トレンド維持。
つまり、全体的に中国企業の株価は大きく下落していないことになります。
結論
財務不正の公表は企業の株価、上海総合指数にほぼ影響していない。
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なぜ中国企業の株価が暴落しない?
財務不正が公表されたのに、その企業の株価が暴落しなかったのはなぜでしょう。
複数の中国人に質問してみたところ、全員が同じような答えでした。
- 「もともと信用していないので、不正会計には驚かない」
- 「みんなやっていることだから」
- 「公表されていなかっただけで、みんな不正は知っている」
財務不正はもともと知っている
↓
公表されても驚かない
↓
売りの材料にならない
中国国有企業の9割不正というニュースは、株式市場に大混乱を引き起こすと思っていました。
「あの企業は不正したから株を売って、他の誠実な企業の株を買おう」
というのは、もしかしたら中国では無理なのかもしれません。
9割が不正ですからね……。
中国株、相手にとって不足なし、といったところです。
今後もアンテナに引っかかったニュースがあればブログ記事にしていきます。
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